【テーマ:脱出の日の本】アブラカダブラ 奇術の世界史

書き手:ゆうき図書館(y.i)

アブラカダブラ 奇術の世界史

アブラカダブラ 奇術の世界史

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 110263100 779/マ/

1.この本を選んだわけ

「脱出の日」に、"脱出王"に関する本はいかがでしょうか?

一説によると、古代エジプトの洞窟壁画には、カップ&ボールと呼ばれる奇術を演じている様子が描かれているそうで、これが「世界最古の奇術の記録」とされています。この壁画は四千年以上前のものと推定されていますから、この説が正しいとすると、奇術はとても長い歴史を持っています。
その長い奇術史の中で、伝説の人物として燦然と輝いているのが"脱出王"ハリー・フーディーニです。
アメリカでは奇術師の代名詞としてその名が挙がり、日本でも英和辞典などのの一項目になるほどの人物ですから、その偉業は推して知るべしというところですが、中でも"脱出王"としてのフーディーニの偉大さがもっとも簡潔に理解できるのは、彼の葬式でブロードウェイのプロディーサー、フローレンツ・ジーグフェルドが残した言葉かもしれません。
奇術にすべてを捧げ"脱出王"とまで呼ばれた男の生涯の締め括りに、これほど相応しい言葉は他にありません。
気になる方は、ぜひ本書を手に取ってください。
(ウィキペディアの「ハリー・フーディーニ」の項目でもこのエピソードが紹介されています)
もちろん「アブラカダブラ 奇術の世界史」はフーディーニ以外にも、魅力的な奇術師たちのエピソードが満載です。

2.こんなひとにおすすめ

前述の通り、紀元前のはるか昔から人類が奇術を行っていたとすれば、それは、不思議な出来事に魅力を感じる気持ちが、人間の本能に近い部分に起因しているからかもしれません。
人々を魅了する不思議を生み出す奇術師たちの、ある意味奇術そのものよりも魅力的な人物像が紹介された本書は、たくさんの人に楽しんでいただけるのではないかと思います。

3.こちらもどうぞ

石田天海―奇術五十年 (人間の記録 (68))

石田天海―奇術五十年 (人間の記録 (68))

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 010396141 779.3/イ/
犬山市立図書館 111340857 289.1/イ/

こちらは「奇術の世界史」にも登場する日本の奇術師、石田天海氏の自伝です。
太平洋戦争を挟んでの34年間、本場アメリカのショービジネス界で「グレート天海」という称号を得るほどに活躍した天海氏の自伝は、これから海外雄飛を目指す人への応援になるのではないでしょうか。
巻末には「やさしい手品の解説」が収録されています。しかし天海氏によると、演技の重要な部分は「曰く言い難し」だそうですから、「手軽にマスターして歓送迎会の余興に」というわけにはいかないかもしれません。