日本産セミ科図鑑

書き手:加須市立加須図書館 A

日本産セミ科図鑑

日本産セミ科図鑑

所蔵図書館 資料番号 請求記号
加須市立加須図書館 011132230 R/486.5/ニ
ゆうき図書館 011198199 R/486.5/ニ

1.この本を選んだわけ
まだまだ暑い日が続いていますが、セミの鳴き声も相変わらず大きく感じる今日この頃です。

本書が発売されたのは、まだ場所によっては冬に近い寒さの残る2月の末でした。
その時期に『セミ』についてと言われてもあまりピンときませんが、次のような特徴のある図書でしたので、この夏に向けて購入しました。

まず、タイトル通り、日本のセミについて詳しい解説付きで書かれている図鑑であること。
図鑑ですので、各セミの写真があるのはもちろんですが、オスメスの区分だけでなく変異型など色々載っていますし、最初の20ページの概論だけでも、セミ全般の事を細かく知ることができます。

次に、鳴き声のCDが付いていること。
鳥やカエルなどの鳴き声のCD付きの図鑑を見ることが多いと思いますが、この図鑑にもセミの鳴き声のCDが付いています。
やはり、カタカナ表記というのも趣があるとは思いますが実際に音声で聞くとわかりやすいです。

最後に、脱皮殻の写真が載っていること。
幼虫の写真は残念ながら概論の部分に1枚しかなかったのですが、脱皮殻についてはまとめて見開き一覧で載っています。
普段目にするのは、成虫か脱皮殻という場合が多いので、この写真があるのは良いと思います。

他にもセミの標本の作り方や撮影方法なども載っているので、とても充実した内容です。

2.こんなひとにおすすめ
セミ好きや研究している方はもちろん、脱皮殻について書かれていることや鳴き声CDが付いていることから、夏休みの自由研究の参考などにも非常におすすめな1冊です。

3.こちらもどうぞ

原色 日本島図鑑―日本の島433有人島全収録

原色 日本島図鑑―日本の島433有人島全収録

所蔵図書館 資料番号 請求記号
加須市立加須図書館 011082294 /291.0/ケ
犬山市立図書館 112282561 /291/

こちらは、『鳥』図鑑でなく、『島』図鑑です。
日本にある有人島を網羅しているそうで、その島の素敵な風景などの写真とともに、島について解説やアクセス方法などの簡易データが書かれています。
また、この本の索引を見ると、鹿児島県鹿児島郡十島村に『宝島』という島があることや、『硫黄島』は「いおうとう」と読むと東京都小笠原村の島に(2007年に公式名称になりました)なり、「いおうじま」ですと鹿児島県鹿児島郡三島村の島ということがわかります(もちろん無人の島で同名の島は他にもあるでしょうが)。

きっとだいじょうぶ

書き手:加須市立加須図書館 A

きっとだいじょうぶ―ひろはまかずとし墨彩詩画集

きっとだいじょうぶ―ひろはまかずとし墨彩詩画集

所蔵図書館 資料番号 請求記号
加須市立加須図書館 010146991 /721.9/キ
ゆうき図書館 011425568 721.9 /ヒ

1.この本を選んだわけ
所蔵するにいたった理由は、やわらかいタッチの優しい絵と、スッと心に染み入る優しい言葉が載っている本書の持つ温かさを当時の選書の担当者が感じ取ったからなのかもしれません。

今回、本書を取りあげたのは、ちょうど、5月ごろ、「元気の出る本を3冊紹介してほしい」という依頼が来たのがきっかけで、ピックアップした資料の1つだったためです。

図書館には様々な資料が置いてあるのですが、元気のない時に、「さぁ、これから長編小説でも読んで元気を出そう!」という気力はなかなか出ないものです。
また、主人公が同じような境遇から脱却したような本ですと、逆に本の中の主人公との差を感じて一層落ち込むことも考えられます。

依頼を受けた時期に「元気の出る本」と言われても、少し難問だったのですが、短時間で読めて心がスッとさせるようなものや、少しクスッと笑顔になれるものが良いと思い、本書と他2冊を選びました。

さて、本書を読むと、泣きたい時には涙を流して『いい涙を流した』と思えるような気持にもなれますし、明日へ向かって『一歩出よう』という気にもなれます。

本書に限らないことですが、まずは本を手にとって素敵な言葉を見つけられると、きっと元気が出るのではないかと思います。

2.こんなひとにおすすめ
元気のない人はもちろん、「なんか素敵な言い回しや言葉が載っているものがないかなぁ?」と思っている方々なんかにおすすめです。


3.こちらもどうぞ

ブランコのむこうで (新潮文庫)

ブランコのむこうで (新潮文庫)

所蔵図書館 資料番号 請求記号
加須市立加須図書館 010376499 B/ 913.6/ホシ
ゆうき図書館 010631273 F/ ホシシ/

こちらは、その時に紹介した2冊目の本。
作者の星新一氏はショートショートというスタイルを得意とする作家さんで、元気のない時でもすぐに読めて、気分転換になる作品も多いのですが、その中では珍しく、こちらの本は長編です。
しかし、テンポがとても良いので、読みやすく書かれています。

これを「元気の出る本」として紹介した理由は、この主人公が、色々な人の夢の中を渡り歩きつつ、その人いる現実世界についても考える形で関わっていくことによって、現実の世界に主人公が戻った時に「この現実世界があればこそ」と思ったように、読み手にもそう思わせる感じがするためです。

3冊目は、以前逆転の発想ということで紹介した(http://d.hatena.ne.jp/lib-web/20100707/1278497389)『3びきのかわいいオオカミ』です。

陰翳礼讃

書き手:犬山市立図書館(K)

陰翳礼讃 (中公文庫)

陰翳礼讃 (中公文庫)

所蔵図書館 資料番号 請求記号
犬山市立図書館 112012331 B914.6/タ /
ゆうき図書館 011211935 F/タニザ/

1.この本を選んだわけ

あまりに王道、あまりに定番、あまりに古典。
いささか芸がないか、とも思います。
が、このようなときだからこそ、読み継がれてきた作品にいま一度目を向けてみたいと考え、この一冊を選びました。


2.こんなひとにおすすめ

未曽有の事態により、日本全体に薄暗さが戻ってきつつあります。
それはかつてのような闇ではないかもしれません。
けれど、「明るいことは良いことだ」とばかりは言えないという声も出てきています。
吉行淳之介は、この本の解説で以下のように述べています。
「文明の進歩とともに、仄暗い場所はどんどん少くなってゆくが、日本人の体質の奥深くには、『陰翳』に(無意識のうちにしても)惹かれてゆくものが根強く残るだろう」と。

いかがでしょうか。
この本を読みながら、ある種の「暗さ」を慈しむ感覚を追体験するのも乙なものかと思います。


3.こちらもどうぞ


ろうそく物語

ろうそく物語

所蔵図書館 資料番号 請求記号
犬山市立図書館 111780656 430/

科学者ファラデーが晩年に子供たちのために行った講演を、これまた科学者であるクルックスがまとめたものです。
たかがろうそく、されどろうそく。
子供向けと侮るなかれ。
自分の中の知的好奇心が、満たされると同時に、もっともっとと騒ぎ出すのを感じられるのではないでしょうか。
ろうそく1本から広がる世界を、どうぞ存分にお楽しみください。

奇跡のリンゴ

書き手:ゆうき図書館(O)

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

奇跡のリンゴ―「絶対不可能」を覆した農家・木村秋則の記録

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 011056074 625.2/イ
犬山市立図書館 111425724 625/
加須市立加須図書館 011016318 625.2/キ


1.この本を選んだわけ

原発事故で風評被害を受けている農家への支援の動きが全国各地に広がりを見せ、
結城市でも、地元野菜を地元の人に消費してもらおうと同市役所で直売会が開かれ、
開始後すぐに売り切れるなど予想以上の反響だったとのことです。


http://www.ibaraki-np.co.jp/news/news.php?f_jun=13029605886748
茨城新聞 2011年4月17日(日)地域面 結城の野菜は安全 地元消費で全国発信>


生産者にとって、精魂こめて作ったものが出荷できないということは死活問題であり、また売れ残って処分されることほど悲しいことはありません。

今回ご紹介するのは、青森県弘前市で無農薬・無肥料・自然栽培によるリンゴ栽培をしている木村秋則さんを取材した記録。

絶対不可能といわれた農薬や肥料を一切使わずに作られるリンゴ。
奇跡と言われたこのリンゴが、花を咲かせ、実をならすまでの軌跡が綴られています。
人智の及ばない自然と努力が実らない現実に向き合う日々、失敗と苦悩の連続で死をも覚悟した険しい道のりは、きっとこの1冊だけでは収まりきれていないのかもしれません。
けれど行間からひしひしと伝わるのは、木村さんの温かい人柄、そして苦難の先に見える希望です。

冒頭に記されるインドの代表的な詩人ラビンドラナート・タゴールの詩『果物採集』の言葉がとても印象的で、木村さんが経てきた道、まさにこの記録と深くリンクしているなと感じました。

毎日食べている食材ひとつひとつが私たちの手に届くまでには、必ず育てる人がいて、その人たちの計り知れない苦労と想い、そして願いが込められているのだということを感じられる1冊です。

2.こんなひとにおすすめ

農業を営む方や有機農法、自然栽培に関心のある方はもちろん、
消費者として自分たちが食している野菜や果物がどんな想いで作られ、どう自分たちの生活と繋がっているのかを改めて考えさせられる、今おすすめの1冊です。

3.こちらもどうぞ

有機な人びと おいしく安全な食を求めて

有機な人びと おいしく安全な食を求めて

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 011165404 615.7/ア
犬山市立図書館 112283106 615/
加須市立加須図書館 011082641 615.7/ユ

有機農業と向き合い、有機農業に取り組む人たちを取材した記録。
地産地消を推奨するイタリアンレストランのシェフや無農薬有機野菜を中心とした食育活動を実践している保育園の園長先生など、
農業に従事している人だけでなく、有機農業に関わるさまざまな分野の人たちに注目した1冊です。

【テーマ:脱出の日の本】生き残る判断 生き残れない行動

書き手:犬山市立図書館(K)

生き残る判断 生き残れない行動

生き残る判断 生き残れない行動

所蔵図書館 資料番号 請求記号
犬山市立図書館 112239041 /369 / /


1.この本を選んだわけ
2月26日は「脱出の日」なんだそうです。
理由は、1815年、ナポレオンがエルバ島を脱出してパリに向かった日だから。
流刑のない現代日本では、ナポレオンのような理由で脱出するひとはあまり居ないかもしれません。
ですが、何かの拍子に閉じ込められたり、自由な行動が制限されてしまうことはありますよね。
たとえば、雪。
今年はふだん雪の少ない地域でもずいぶん降りました。
積雪による思いもよらぬ状況から「脱出」を強いられた方も多かったのではないでしょうか。


さて、今回挙げたのは、主に災害や事故からの脱出についての本です。
9.11テロや、ハリケーンカトリーナなどに遭遇した人々にインタビューを行い、そのとき何が起こったのか、またそのときの心理状態はどうだったのかを克明に描いています。


2.こんなひとにおすすめ
避難訓練って変わりばえしないな〜」「もう分かってるよ」なんて思ったことのある方(私のように…)におすすめです。
訓練に参加する方、しない方、そして訓練を企画する方、すべての方にとって興味深い内容になっていると思います。
この本に描かれている緊急時の心理状態は、非常事態に遭遇したことのない方(私のように…)にとって、驚くべきものではないでしょうか。
ドキュメンタリーとしても迫力がありますので、そういったノンフィクションがお好きな方にも。


3.こちらもどうぞ
いざ脱出!となったら、目印になるのは……そう、「非常口」のあのマークです!
非常口以外にも、様々な標識で描かれている「人型」のピクトグラム(絵文字)。
それを「ピクトさん」と名付け、紹介しているのが、この本です。


ピクトさんの本

ピクトさんの本

所蔵図書館 資料番号 請求記号
犬山市立図書館 111868527 / 727/ /


私たちに注意を促すため、日々活躍しているピクトさん
ぜひ身近なところにいるピクトさんを探してみてください。
それが、いざというときの「脱出」の備えになるかもしれません。

【テーマ:脱出の日の本】アブラカダブラ 奇術の世界史

書き手:ゆうき図書館(y.i)

アブラカダブラ 奇術の世界史

アブラカダブラ 奇術の世界史

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 110263100 779/マ/

1.この本を選んだわけ

「脱出の日」に、"脱出王"に関する本はいかがでしょうか?

一説によると、古代エジプトの洞窟壁画には、カップ&ボールと呼ばれる奇術を演じている様子が描かれているそうで、これが「世界最古の奇術の記録」とされています。この壁画は四千年以上前のものと推定されていますから、この説が正しいとすると、奇術はとても長い歴史を持っています。
その長い奇術史の中で、伝説の人物として燦然と輝いているのが"脱出王"ハリー・フーディーニです。
アメリカでは奇術師の代名詞としてその名が挙がり、日本でも英和辞典などのの一項目になるほどの人物ですから、その偉業は推して知るべしというところですが、中でも"脱出王"としてのフーディーニの偉大さがもっとも簡潔に理解できるのは、彼の葬式でブロードウェイのプロディーサー、フローレンツ・ジーグフェルドが残した言葉かもしれません。
奇術にすべてを捧げ"脱出王"とまで呼ばれた男の生涯の締め括りに、これほど相応しい言葉は他にありません。
気になる方は、ぜひ本書を手に取ってください。
(ウィキペディアの「ハリー・フーディーニ」の項目でもこのエピソードが紹介されています)
もちろん「アブラカダブラ 奇術の世界史」はフーディーニ以外にも、魅力的な奇術師たちのエピソードが満載です。

2.こんなひとにおすすめ

前述の通り、紀元前のはるか昔から人類が奇術を行っていたとすれば、それは、不思議な出来事に魅力を感じる気持ちが、人間の本能に近い部分に起因しているからかもしれません。
人々を魅了する不思議を生み出す奇術師たちの、ある意味奇術そのものよりも魅力的な人物像が紹介された本書は、たくさんの人に楽しんでいただけるのではないかと思います。

3.こちらもどうぞ

石田天海―奇術五十年 (人間の記録 (68))

石田天海―奇術五十年 (人間の記録 (68))

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 010396141 779.3/イ/
犬山市立図書館 111340857 289.1/イ/

こちらは「奇術の世界史」にも登場する日本の奇術師、石田天海氏の自伝です。
太平洋戦争を挟んでの34年間、本場アメリカのショービジネス界で「グレート天海」という称号を得るほどに活躍した天海氏の自伝は、これから海外雄飛を目指す人への応援になるのではないでしょうか。
巻末には「やさしい手品の解説」が収録されています。しかし天海氏によると、演技の重要な部分は「曰く言い難し」だそうですから、「手軽にマスターして歓送迎会の余興に」というわけにはいかないかもしれません。

【テーマ:脱出の日の本】旅のあとさき

書き手:ゆうき図書館(O)

旅のあとさき ナポレオンの見た夢

旅のあとさき ナポレオンの見た夢

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 011043312 293.5/フ/
犬山市立図書館 111938494 293//

1.この本を選んだわけ

1815年の今日2月26日は、フランスの皇帝ナポレオン1世が、ロシア遠征の失敗、ドイツ解放戦争により退位に追い込まれ、流されていたエルバ島を脱出した日。
その後は、ナポレオンの百日天下という言葉もあるように、同年3月に帝位に復しましたが、ワーテルローの戦いに敗れ、6月に退位、セントヘレナ島へと流され最期をとげました。

そんなナポレオン皇帝復活への前兆となった2月26日"脱出の日"に紹介するのは、文芸評論家としてたくさんの著書を持つ福田和也さんのナポレオンをテーマにしたフランス紀行文です。

生地コルシカ島から始まり、南仏、ブルゴーニュ、そしてパリ。
ナポレオンゆかりの地をめぐり、その足跡をたどっています。

エルバ島を脱出したナポレオンが、はじめて上陸したカンヌにほど近いジョアン湾。
そこからパリへと北上した道(ナポレオン街道)の起点として、記念碑が建てられているとのこと。

旅行記としてはもちろんですが、フランス近世の歴史、ナポレオンの伝記としても使えるのでは?と思えるほどの充実した内容です。

2.こんなひとにおすすめ

日常生活(悩みや鬱憤、その他いろいろ)からの脱出といえば、そのひとつに必ずあげられるのは、いつもとは違う場所に身をおいて、さまざまな刺激を受けることができる"旅"ではないでしょうか。
でも、今は旅に行く余裕が無いという人もきっと多いはず。そんな人におすすめなのが『旅のあとさき』のような紀行文。実際に体験するわけではないけれど、本を通してその旅の感覚を味わうことができます。

3.こちらもどうぞ

コーヒーの真実―世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在

コーヒーの真実―世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在

所蔵図書館 資料番号 請求記号
ゆうき図書館 010984995 619.8/ワ/

仕事や勉強などに煮詰まったとき、旅行とまではいかなくても、ほんのひとときそこから脱出(気分転換)させてくれるアイテムといえばコーヒー。
この本は、そんな日常の疲れをホッと一瞬忘れさせてくれるコーヒーの歴史と現在のコーヒーの貿易問題が綴られています。

ナポレオンとコーヒーの関係性も深く掘り下げられていますのでこの機会にぜひおすすめしたい一冊です。
脱出するまでのエルバ島での暮らしぶりにも触れられていますよ。